ビバ!古本市

いつも生鮮食料品を買い求めている大好きな藤井大丸地下のTAVELT、その同じ地下の、いぜん若者向け雑貨店があったのが立ち退いて数年、イベントスペースになってるところで古本市があってるので出かけてきた。

そういや、同場所でこないだ「スノーピーク」のテントを主としたキャンプ用品の展示やってたな。数日前に2代目社長の娘で三代目社長が不倫妊娠でネットのニュースを騒がせたとき、「スノーピークって、さいきんどこかで見かけたんだけどなんでだったっけ」としばらく首をかしげていたけどたしかそこだった。

古本市には興味あるのだが大がかりなのはスッカリ疲れてしまうし、よく青空で開催されてるけれど天候に左右されて肉体的にも影響をうけてしまう。なにより、結構家から遠いところが多いんだなー。そこへくると、藤大地下は馴染んだところで「買い物ついでに」と自分をダマすこともできるし、規模もさまでなので疲れなさそう。

というわけで、毎月第二、第四土曜日にあるカルチャーの太極拳教室に行ったあとに寄ってきた。たのしかった。

4巡も5巡もして吟味したあげく、これら6冊を購入した。しめて1,555円、レジ袋こみで。

これまであんま、古本市の意義って考えたことなかったけど、いいよね。
それぞれ、個性のある古本屋さんがそれぞれのカラーの本を出してくるので、いろいろ楽しめる。

こんかい、目当ては深沢七郎だった。

数年前、とある出会いから「しんしっつあん」(自分の覚え間違いから勝手につけた愛称)に惚れて、図書館から本を借りまくって(深沢七郎特集本まで)読んだ時期があった。いらい、古本屋で出会ったら買おーと思ってたんだが、BookOffにはおもしろい本ないし、なかなか古本屋に立ち寄る習慣がない。ネット書店ではなく、実際手に取って判断してしんしっつあん本は買いたいんだよなー、と思っているのだが、たまさか寄る古本屋にもあまり、置いてない。

こんかいも、さんざ見て回って3冊しかなかった。
癖のつよい作家だから、所持したひとはずっと持っていたいのかな、売りにださずに自分の手元にもっておきたいと、漫画でいえば山岸涼子本がなかなか古書で見つからないように。

さいきんの作家のはへなちょこでおもしろくない、
やっぱ昭和の作家の本が骨太で個性つよくておもしろいんだなー。

というわけで、本日ゲットしたのは以下の6冊。すべてサっと立ち読みして判断。

・日本語の文法を考える 大野 普
・妖木犬山椒 深沢七郎
・板極道 棟方志功
赤目四十八瀧心中未遂 車谷長吉
・ほんまにオレはアホやろか 水木しげる
・犬神博士 丸尾末広

日本語をしゃべりながら書きながら、センスのない者が嫌いだ。
誤字脱字を平気でネットにあげるヤツらが嫌いだ。
しばらく「きちんとした日本語」を書くことに腐心していたけれど、
それを踏まえたうえで、独自の表現ができるようになりたいと思っている今日このごろ、もうすこしきちんと日本語のことを知りたいなと思っていたんだ。大野普さんのこの本は、奈良時代やら昔の例もだして面白そうだ。買うことにした。「1.不幸な学問」を読んだがすでに首肯すること多し、たのしみだ。

「しんしっつあん」本は最初の「無妙記」を読んだがやはり抜群におもしろい。とあるネットコミュニティであるひとが「深沢七郎は『楢山節考』だけの作家だ」的なことを書いていたが、わからんやつだな。
たぶん、しんしっつあんは抜群にあたしと相性がいい(生きてても仲良くしてもらえんだろけど)。優れたギター奏者で長年舞台に出てたというから、そういうところの感性に共鳴するところがあるんだと思う。かれの書くものは、あたしにとってどれも面白いし、「深沢七郎本」にもあったけど、文法的文章的におかしいのに違和感なく読めるし、この書き方からだこそ理解できて雰囲気を醸し出せる。そういう身体感覚のある文章だ。読んでいて音楽を感じる。
「無妙記」はめっぽう面白くて、しかも舞台が京都のあたしが住んでいたり、うろちょろしていた、している界隈の話でもあってとても身近に感じておもしろいのもあった。すごく映像的な話だった。映画を観ているよう。ほかの話を読むのが、たのしみだ。あたしもすこしは、近づけるといいなあ。

棟方志功はいぜんから独特の色気、勢いが好きな版画家であるのだがさいきん、どっかで破滅的だかはちゃめちゃなのがおもしろい、みたいな人物評を読んだ。昨年末、富山に行った際に元豪商の家で志功のツァラを見かけて「こんなのも作ってたんだ」とビックリしたところだ。かれの自叙伝、ちらっと読んだら序は谷崎ではないか。それもおもしろく、買うことに。ちと読み始めたが、力強く、面白い。やはり人間、幼少期の経験って大事だなと思いながら。

車谷長吉さんの本は、読んだことがない。
いまは完全にオンラインになったらしいが、定期購読で愛読していた文藝春秋の「本の話」(表紙は山本容子さんだ)だったと思うんだが、長吉さんの書いたエッセイ的なものを読んでずっと興味を持っていたんだ。昔むかし、尊敬していた梅原猛さまが「私小説はくだらない。価値がない」的なことを言ってたので書くとしたら私小説しか書けないあたしはすっかりガッカリして自分を否定された気持ちだったんやが、長吉さんが「私小説は大事である。シショウセツではなく、ワタクシ小説である。もっと堂々としてよろしい」的なことを書いておられて勇気ヅケラレタ。そういや、梅原センセは谷崎嫌いみたいだったし、ただ単に個人の好みだよね。ブンガクいうのをすこしく読んでみて、いまではエッセイみたいなんがブンガク呼ばれたりするし、文学も時代によって評価基準かわるしなんでもありよなあと思う今日この頃。ま、そんなわけで長吉さんの本をぱらっと読んでみると、嫌いではない文章だったのでこれを機に読んでみようと。

水木さん本はいくつか持ったり読んだりしているのだが、これはこれまで読んだことのないエピソードもあるみたいなので。

丸尾末広本は、大学時代のサークル仲間が好きで何冊か読ませてもらい、独特な世界に受け入れられないものとなんだかゾクゾクと惹かれるものがあったのだが、ちらっと読んでみると面白そうだったので。

そんなわけで充実購入、これからの日々がたのしみだ!

 

きょうの得物