真実はいつもたくさん

いぜん京大付近で働いてたことがありまして、そのころはせっせと京大で行われる無料講座やらセミナーに通っておりました。

昔より自由度がなくなったと嘆かれてはいますが、やっぱり変な、おもしろい研究者がいっぱいいますし、営利でなく実施されるセミナー、研究発表はかなり自由度が高かったりしておもしろかったです。

たくさん、個性特色のある教授研究者の話をきいたわけですが
なかでも記憶に残っているのが塩瀬 隆之さん。

塩瀬さん、「大学博物館」ってそもそもどんなところですか? (ゲスト: 塩瀬隆之さん第1回) - PLAZMA


人文研の連続講座でコミュニケーションについての話だったと思います。
とにかく、話がうまい。
それに、実際はどうだったか忘れたけれど、たとえば水玉模様のYシャツに特色のあるネクタイ、個性あるベルトで見るからに(京大でよくみかける)頭のいい変人でした。

彼の「京大光線」の話はとても面白かったのですが、そのときの講義でいちばん記憶に残っているのは、
「40歳、50歳以上のひとは、信用できる知人友人からの話と、世間できく噂、情報の信頼性をわけているが、いまの若いひとは自分の知り合いと、ネットで知る情報を同じくらい信じる」
というようなものでした。

ネットで垂れ流されている情報を、その真偽を確かめずに頭から信じ込んで、正義の批判に走ったりするひとって多いですよね。「悪意のない誤り」を確認せずに信じるひとも多い。

さいきんよく見ているとあるサイトで、自称「元ミスコンテスト出場者で、健康美容に意識高い」ひとが美容について回答しているなかで、
「水は1日1リットル飲んだら排出するのに4週間、2リットル飲んだら2週間、4リットル飲んだら1週間で排出するので、水は一日4リットル飲むべき」
と、根拠とする動画もつけて書いていました。
「へえ~、知らなかった」
と、その動画をみてみると
いかにもフィットネス講師みたいな、眉毛も作り上げたぴったりスポーティTシャツ着ていい体をみせつけたイケメン(本人もそう思ってるに違いない)お兄さんがホワイトボードにさらさらと「1、2、4 4、2、1」と数字を書いていき
「はい、水は日1リットル飲んだら排出するのに4週間、2リットル飲んだら2週間、4リットル飲んだら1週間で排出するんです。4週間も体のなかにたまっていたら、よくないですよね。だから、急には無理かもしれませんが、水をどんどん飲むようにしましょう」
と軽薄にしゃべっているのだが、失礼ながら、あまり頭よさそうに見えない。
ちゃんとした根拠があって言ってることなのか?
とネットで検索してみると、それに関する根拠は見つからなかったのですが

・体内に取り入れた水は、すぐ排出されるものもあれば、再利用されて体内をめぐるものもある。それが最終的に排出されるのが1か月と考えられている。

という、比較的信用できそうな情報を得ました。

www.zaiho.jp

老廃物としてたまっているわけではなく、体のなかで再利用されているようです。

また、やたら水を飲めばいいわけではないという記事も見つけました。

www.newsweekjapan.jp

やっぱり、得た情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、疑ってかかって、あれこれとあたるのは大事だなあ…と思いました。

たとえ嘘でなくても、あること、出来事の見方は見る方向、立ち位置が違えばいくらでも変わってくる。そのことを肝に銘じて生きております。