しゃべらないのも技術

これまでいろんな職場を渡り歩いてきたけれど、まあひとはおしゃべりだね。

そこで肝に銘じたことは、
「しゃべるのは、広がってもいい話だけ」

女性は口が達者だというけれど、たしかによ〜それだけ中身のないことしゃべってられんなとか
よ〜そんな口さがなくしゃべれんなとか
思わされるひともいれば、
うわべだけのことをぺらぺらしゃべって場をとりもってうまいこと、感心するひともいる。

しかしわたしは口下手な性質で、頭で思うことに口がついていけず、黙り込んでしまう。
また、ぱっと返すにもいろんな可能性や相手の状況などを考えて、口に出していいものかどうか考えるうちに機会を失う。

この、口下手なのがかなりのコンプレックスだったのだが
それでも、自己鍛錬の結果、仕事に関する連絡事項はスラスラ言えるようになった。
けれど、雑談などは相変わらず苦手。
もっぱら聞き役だけれど、おしゃべり好きな現在の職場の先輩からは
「マリちゃんは話をちゃんときいてくれるからうれしいわ」
と言われてうれしいな。

当意即妙に返せない自分をはがゆく思ったときもあったけれど
柄じゃないこと無理してしようとせずとも、自分の持ち味をうまく使ってやっていけばいいじゃん。
とようやく思えるようになった今日この頃。
それに、みんながわあわあ言ってるのを静かにきいているのは、カシコク見えたりもするらしいです。

そうして自分の性格をキープしつつも、周囲と調和するようにやっていると
だんだんとじわじわと、「あのひとは、信用できるな」と思ってもらえている感触があります。

それに、ひとは自分の都合のいいように他人の言ったことを切り取って伝えたりする。
言った本人の意図とは別の、伝えるひとの言いたいように伝えられたりする。
故意にせよそうでないにせよ、捻じ曲げて伝えられることがある。

そんな魑魅魍魎の世界に生きていると、「しゃべらない」というのも大事な技術に思えてくる。