ミステリとサイバーパンク

某ユーザーサイトで知った漫画「ミステリと言う勿れ」を
自分の誕生プレゼントとして大人買いしてさいきん読んでいるのですが
これがめっちゃおもしろい! 

 娯楽性がありながら、倫理的なことも考えさせられるし
根底に「子どもをナメるな」、子どもの感性、記憶力、尊厳をバカにするな、というのがある。
大人が思ってるよりよほど、子どもは大人のことよく見てるんだぞ、
いろいろ考えてるんだぞ、ずっと覚えてるんだぞ
と、かつて子どもだったことを覚えている人の多くが共感するのではないでしょうか。

そのなかで、主人公が
「自分の中から出てきた言葉を使ってください」
というくだりがある。

もう20年ちかくまえ、大学時代の指導教官であった
カナダ人の詩人の教授とその彼女との3人で
大阪であったルー・リードのコンサートに行ったことあるんだけど
そのとき"Can't you be more specific?"(もっと独特にできないのか)という歌を歌っていた。

「愛してる」なんてありきたりの言葉じゃなくて
自分で自分の言葉を見つけて言おう

というような歌詞だったと思います。
以来、とくに自分のこころを表現したいときは
自分独特の表現をするようにこころがけている。

先週末、美容室に行ってきた。
ひろびろとした古い木造建築の二階。
木の質感を生かした造り、ぎしぎしいいそうな床、時代ものの家具類
セピア色の世界に紛れ込んだような気にさせられる
美容室らしからぬ美容室をひとりでやっているお兄さんの店へ。

こだわりのつくりなだけあって、カッコつけではない芸術文化に興味のあるひとで
美容室ではしゃべらないわたしが、このお兄さんとだけはしゃべるしゃべる
置かれた雑誌を一度も手に取らないほどに。

そして会話だけでなく、このお兄さんのカットも気に入っています。
クセを生かして跳ねた、動きのあるサイドと後ろはもちろん
わたしにとってとりわけ重要なのは前髪で
前髪で、わたしの個性を表している。

ここ数年、「V字型の前髪」が気に入ってるのですが
他の美容師さんだと、思い切って切ってくれないのですよね~
まあ、「ばっさりやってください」と言いながら
実際ばっさりやったら「えええ~?」って言われること多いんだろけど

ここのお兄さんは「やっちゃってください!」
とこうして欲しい、という形を熱くつたえると
「わかりました!」
と切ってくれました。

そして、できた前髪(他の部分もですが)は大変気に入り
このヨロコビをどのように伝えようかとすこし思案してから

私「SFのジャンルで好きなののに、『サイバーパンク』っていうのがあるんですが」
お兄さん「はい…サイバーパンク、ですか」
私「サイバーパンクな感じになってます!」

お兄さんは、一瞬とまどったようでしたが
「気に入っていただけたのなら、よかったです」
と満面ニコっとしました。

わたしは我ながら、この誉め言葉が気に入った。