「ゆきやこんこ」を聞くたびに

現在の仕事では、海外の人々とオンラインでやりとりすることが多く
某国のひとの、まるで理解力ないくせにあれこれ責めて攻めてくる様子に
「さすがA国人」
と皮肉でいうと上司が笑い、
「篠木さんはA国のひと嫌いなんですか」
と言う。

「A国のひとには、あまりいい経験をしなかったもので…」
と返してさいきん、そのひとのことを思い出す機会が増えたことに気づいた。

きっかけは、「ゆきやこんこ」。

ほかの地域ではどうかわかりませんが、
京都市内では寒い期間中、灯油をつんだ小型トラックが
「ゆきやこんこ」を流しながらゆっくり走ります。
ちかくに灯油販売所などがない家庭、
18リットルを遠く運ぶ力のない
女子供年寄りしかいない家庭はこれを重宝しているわけです。

数年まえ、B国人の教授秘書をしていたとき。
研究室には、何人かの外国人が所属しており
そのなかに、A国人のCさんがいた。
Cさんは女性研究者で、同じ研究者である夫のDさんは他国に単身赴任、
Cさんがひとりでふたりの子どもをみながら研究を続けていた。

それは偉いんですけどね。
ずいぶん、Cさんのプライベートな手伝いさせられた…。

Cさんの小学生の娘の学校からのお知らせを
重要なのとそうでないのとわけ、概要をお知らせするのはいいとして
夏休みの宿題をすっかりサボって秋学期になってから泣く娘のために
Cさんが「夏休みの友」の毎日一行日記を考え
わたしが小学生が書くような日本語に訳したり
(それを見て娘が一行日記を書いていく)
Cさんのプライベートなオンラインショッピングの手伝いをしたり。

寒い時期になると、求めに応じて灯油販売屋さんに電話して
「〇月〇日(曜日)〇時、この住所の2Fに18リットル2缶持ってきて」
と電話したり。
娘の習い事関係のことを調べて、問い合わせの電話をしたり。
就業時間の半分くらいは、Cさんのリクエストに応えてたんじゃないだろうか。

外国人研究者や家族のプライベートを補助することで
日本での生活をできるだけスムーズにして
研究活動に注力できるよう環境を整えるのは大事だと思うし
外国人研究者を抱えるほかの研究室秘書さんも
大なり小なり、プライベートに関するお手伝いはしていたみたいだけれど
Cさんのは「甘えすぎ」な感じがなきにしもあらず。

ほかの外国人研究者はここまでおんぶにだっこじゃないけどなあ…と思うこと多々。

外国人の相手には慣れていて、少々個性きついのが平気なわたしでも辟易することがあったCさんのことを、この「ゆきやこんこ」が流れるたびに、どうしても思い出してしまう。

それでもまあ、苦笑いしつつもいまは「思い出」なのでよしとするか。