エロはカツ

「サイバーアンダーグラウンド / ネットの闇に巣喰う人々」

www.nikkeibp.co.jp

を読了しました。

おもしろかったです。
著者が最初に書いているように、
ほかの本はネットの記事や情報を寄せ集めて組み立てたものだけれど
この本は、著者が実際にいろんな国に渡ったり、つてをたどってそのビジネスに関わっている当事者に取材して書いただけに、肉厚な手ごたえを感じられます。

ティーンエージハッカーの動向、ネットビジネスの裏側、現代の諜報戦、裏ビジネスで活躍するサイバー機器や手法など。

ゴルゴ好きのわたしとしては、やはり諜報系の話に萌えましたが、
ほかの話も興味深いものばかりでした。

ティーンエージハッカーは、今日「最初からよい方向に進めた例」みたいな、
小学生のころに不登校になったけれど、
中学校でIT系にであってプログラミングにはまり
高校には積極的に行くようになり、将来の道もみえてきた…という子の話を新聞で読み、ちょっと思いをはせました。
周囲にその子の頭の良さや特性を理解してくれない大人がいないと…とか
誰でも、そんな理想的な環境にいるわけではないけれど…とか。

そもそもネットでその記事を読んでこの本にいきついた、「アマゾンのやらせレビュアー」の話も
「そういう仕組みもあるのか~」と感心です。

振込詐欺の仕組みも、わかりやすく説明されています。

なかでも「なるほど~!」と思ったのは、
はじめは現在のチャットレディのビジネスの話からはじまり、
ではそれがどのような形ではじまり、発展していったか…という背景の説明で
VHSを爆発的に広まらせ、技術の後押しをしていたことを知り
良きにつけ悪しきにつけ、「エロスのちからってすげ~!」と思ったことでした。

よく思うのが「道具かわれでひと変わらず」
もちろん、道具が変わったことで影響や被害の度合いが全然ちがってくるわけですが
それでも、いまのコロナ禍のなか、オイルショック時とおんなじデマに踊らされたり
各国で鎖国したり、人間の動向ってそれこそ「歴史は繰り返す」し
性に関する産業は形態を変えても連綿と続いていってるし、
それに情熱をかけるひとびとがおり、実はそのおかげで発展していることもあったり
最先端のテクノロジーや研究に携わってる賢いひとびと、
成功している起業家、体力気力知力があり国家や世界の裏側で活躍しているひとびと
などなどに比べてなんと自分のちいさいこと、とこの本を読み進めているうちに悲しくなったのですが
「エロはカツ」と思うと、なんとなく安心するのでした。

 

サイバーアンダーグラウンド / ネットの闇に巣喰う人々

サイバーアンダーグラウンド / ネットの闇に巣喰う人々

  • 作者:吉野次郎
  • 発売日: 2020/01/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)